夜明けの月 -残月-
強い台風で前評判の高かった台風17号が、思ったより穏やかに去ってくれた朝、
宵闇がまだ残っている西の空に月が輝いていた。
起きがけでまだ頭のぼんやりするなか、一瞬、太陽?、月、どっち?
などと判別もつかぬ曖昧なまま、暁に輝くあまりの美しさに気がつくと、
条件反射のように既にカメラを探していた。
そういえば、明け前に小用に立ったとき、吹き抜けのフィックス窓からいやに外の森が
明るいなあと感じたのを思い出した。
明けやらない空で、すでに台風一過で雲がとけて中秋の名月が輝いていたことがわかった。
月明かりの庭を見逃したまま、また起床時間までの眠りについていたのだ。
中秋の名月はその姿を縮ませながらも、朝方まで待っていてくれたのだろう。
やがて陽が昇れば月から日に主役が交替していく黎明のときだ。
眼下の街もまだ眠っていて静かだ。
富士も雲海を下に敷き豊麗な姿を見せていた。
着替えもせずにカメラを持って外へ飛び出しファインダーをのぞいていると、
何カットか撮るうちに脳裡に何やら言葉が浮かんだ。
「・・・・・ハーモニック・コンバージェンス・・・・・」
何だろう?
んんん、
ハーモニック・コンバージェンス?
あの1987年の世界的な平和のイベント?
マヤ暦研究の第一人者、故ホゼ・アグエイアス博士の提唱した
地球規模の瞑想と惑星平和の催しのことだ。
どういう意味だろう?
それが今なぜ?
その後調べをはじめた。
まず、ハーモニック・コンバージェンス(調和的集合)そのものについてだ。
あるブログにはこうあった。
マヤ長期暦の完了の意味をスピリチュアルな側面から読み解き、2012年の重要性を世界に(マヤに特に関心も無い人々にも)知らしめたのは、『ドリームスペル(13の月の暦)』の提唱者でもあるホゼ&ロイディーン・アグエイアス夫妻だったと言って良いでしょう。それは、彼らが1987年の8月16日に呼びかけた「ハーモニック・コンバージェンス」というイベントと密接に関係したものでした。
行き過ぎた物質主義の流れを反転し、人類全体に精神的、霊的側面を取り戻すこと、あるいはその側面を進化させることを呼びかけたこの平和のイベントは、マヤ長期暦の日付と関連する14万4千人以上の参加が目標とされていました。メディアによる報道や、その意図に賛同した著名人の呼びかけもあって、実際にはそれを遥かに越える人々が世界中の聖地に集い、集合的な瞑想を行ったと伝えられています。
その2012年もあと残りきっちり3ヶ月になった。
その月はじめの夜明けに届いた言葉だった。
まだその意味を考えあぐねているところだ。
つづく
by Martin