Films - I'm Sleeping Under The Dead Tree
ヘンリー・デイヴィッド・ソロー( Henry David Thoreau)
“ウォールデン、森の生活”から
【ソローの言葉】
■どうして僕らはこんなに慌ただしく、こんなにいのちをむだ使いして生きねばならないのか。飢えもせぬうちから餓死すると決め込んでいる。今日の一針は明日の十針などと世間では言うが、その流儀で明日の十針を節約するために今日は千針も縫ってしまう。仕事はと言うと、これと言うものは一つもない。
■一日はぼくの何かの仕事を先導する明かりのように進んでいった。朝だとばかり思っていたのに、それがもうあっというまに夕暮れだ。しかも記憶に価することは何一つ成し遂げていない。鳥のように囀る代わりに、ぼくは途切れることのないぼくの幸運が嬉しくて、黙ったままで微笑していた。
■楽しみを外に求め、社交や芝居見物に余念のない人びとに対して、ぼくの生き方には少なくとも一つ長所があった。ぼくには生きること自体が 楽しみとなっていて、ついぞ鮮度の落ちたことがない。ぼくの生活は見せ場がいくつもある終わりのないドラマだった。