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まるでガラス窓のパッチワークだ! 前面窓だらけのユニークなキャビン。Nick Olson & Lilah Horwitz の家。Half Cut Tea . com | Nick Olson & Lilah Horwitz Half Cut Tea . com | Nick Olson & Lilah Horwitz from Matt Glass on Vimeo. なるほど、こんな発想があったのか!と驚くだけでなく、映像を見るとオーナーであり、製作者でもあるNick Olsonの意図したとおり、まさに光が充満する温室のような、そして目の前に広がる風景と共にある文字通りガラス張りのかなりユニークなキャビンであることがわかる。 太陽の動きとともに光と影が変化し、同時にグラスハウスとして室内温度も変化していく。快晴の日は一日中、陽光を浴びながら光の世界を堪能することができる。 夕は、Olsonが最初にウエストバージニアのこの地に立ったとき、あまりに美しい夕焼けを見てこのグラスハウスを発想したというとおり、部屋にいながら雄大な落日の光景を見ることが出来る。見るというより、その光景の中に“居る”という感覚だろう。 Olsonはハンドメイドの古風なカメラで撮る鉄板写真の写真家のようだ。パートナーのLilah Horwitzは服飾デザイナーのようで、映像中にも、彼女が衣服を紡ぐ光景を彼は昔懐かしい黒幕を被る大型カメラで撮っている。 ふたりの古きよき時代の雰囲気を大切にする志向が、この建物の持つ意匠や、室内インテリアの中にも生きている。 このキャビンの材料は見たとおり、ほとんどすべて古材によっている。その多くは彼の生家の古い納屋を解体して調達したものらしい。この味のある古材が随所にうまく使われている。特に内壁の厚い板は、まさに納屋の壁材だったのでその古びれたテクスチャーがシャビーな味わいを醸し出している。古めかしい薪ストーブの遮熱版にも、錆が全面を覆った金属板を張っている。 そして肝心の窓のことだ。これは見たとおりこれだけの数の形やサイズ、大きさの異なる使い古した窓をガレージセールやアンティークショップなどで集め、それを見事なまでの平面の組み合わせで、キャビンの前面をまるでパズルのように覆ったのだ。 そして一部の破目殺しを除き、他はちゃんと開閉できるようにしている。高さや位置、数、それに開閉の向きを変えてあり、それらを自由に開け閉めして、風の流入の調整などもできる。室内にそよぐそよ風に吹かれながら眠る愛犬のシーンが印象的だ。 アーティストであるセンスは、窓と窓枠のレイアウトを室内から見た光景を見れば、まるでモンドリアンの絵画のようにコンポジションにもこだわったことがわかるだろう。 古材やリサイクル品を活用し、工夫に工夫を重ね、思いどおりの建物をセルフビルドする愉しみと、さらに日中の光はもとより、夜のキャンドルライトの照明や、空に輝く月や星々を眺めるゆとり、朝焼けの中で目覚める自由など、自然に最も近くに暮らしを満喫できる歓びを享受できるキャビンのようだ。 もっとも、これだけの視界に一切の建造物がない理想的な場に、思い通りの建物を造れるという機会と条件を得られた彼らであることが、このキャビンを生み出せた大いなる僥倖だろう。 ただ、人は運命的にあてがわれた場所にて、創意と工夫と情熱的創造性と行動力で、自分の暮らしのサイズに合わせた住み心地のいい、精神と感性を豊かにさせるミニマムな建造物をつくる歓びとその可能性を忘れてはならない。発想の自由度をどこまで既成概念から守りながら実現できるかが、セルフビルダーの葛藤のしどころであり、出来上がった建物はその格闘の結果の産物である。 このグラスハウスの絶妙な窓組みを見れば、何を優先しているかは明白だろう。そこには、防水性や耐風圧や気密性、それにプライバシーの確保などは問題外なのである。彼らにとって、前面ガラス窓のこのユニークなキャビンは、自然の風景の中で光の素晴らしさを見るための「装置」なのだということだ。 そう、Olsonの最初の発想は、「この丘の上で夕焼けを見る家」だった。
by martin310
| 2015-01-19 20:49
| キャビン
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