* デッキの上の鉢植えのジュリアン。それにしても、先週の早春キャンプのお土産でもらって帰った風邪のウイルスの猛攻に、すっかりこの数日間は苦しめられたものだった。
実際、寝込むほどまではいかなかったものの、寝込みたいほどの辛さを抱えながらも、何とか仕事に行っていた。
が、久しぶりにひいた風邪は、いつもの健康状態のありがたさを、いっそう感じさせてもらったものになった。
体力が弱っていけば、気力も衰え、様々な感じ方がふつうではなくなって来る。
いわゆる五感というものが否応無く冴えなくなって来て、匂いや香りがわからなくなり、味も半減して美味しく思わなくなり、目は涙目で見るのが辛くなり、聞こえるものにも心地よさを感じなくなる。
「視・聴・嗅・味・触」のとおり、かなり自分の感覚が不自然に傾いているのを実感した。
こんなときは、美しいものを感ずる力もなくなり、何を見てもそう、興味を惹かれるということもなくなって来る。
体力も極端に落ちて、身体がだるくしゃんとしないので、今までやって来た庭づくりの状態を見ても、不思議と今の自分との違和感があり、自分の仕事の結果なのに、なぜか落差があるように感じてしまうものだ。
漸く、今日になって回復の度合いが高くなって、陽の当たる庭に出て、色鮮やかに咲いた花々にカメラを向ける気になった。
そうすると、自分が病みあがりだけに、植物たちの生き生きとした生命力の凄さが、いっそう際立って感じられて来た。
しばらく冬篭りと思って、庭の植物たちは寒さの試練のときと、意識の向ける先からも外れたところにいたものだが、こうして実際に目にしてみると、もう、かなり春は進んで、小さな命がどんどん大きく花開きつつあるのを知った。
これからさらに、春の花々の饗宴がはじまるものと、やっと体調が戻って来たこの日に、五感の正常化が適ったのは、まさに時を得たようにも感じられた。
* ガーデンフェンス下に咲くシラー・シビリカ。* クローバーに混じって様々な草が緑の面積を広げる。* 霜の降りた庭でも元気に黄色い花を咲かせるヒメリュウキンカ。* なんとも覚え難い名のエロデューム・ペラルゴフォーラム。* 鮮やかなピンクで主張するさくら草。* 自然にいい感じに錆て来たハリケーンランタン。