松崎の町は、その昔、まだ今のように陸路が通っていない頃は、天然の良港として海運が随分盛んだったようです。
江戸時代には、300石積み以上の廻船がここから上方や江戸を往復し、カツオや鰹節、イグサ、年貢米などが出荷されていたようです。
港として栄え、それによって町にも活気があった頃の風情が今に残っている町として見てみると、松崎の町の持つ雰囲気のいわれに納得がいくかもしれません。
港に那賀川と岩科川というふたつの川が流れ込んでいるために、そこがまるで運河のように町の中を通っています。
おそらく、この川も小舟の流通があったのでしょう。
この川の土手沿いに今も、古い商家の建物が残されています。
その代表的な建物の「明治商家・中瀬邸」や「伊豆文邸」を見れば、なまこ壁を基調にした、松崎独特の、かなり豪奢な造りの手の込んだ細工が目立ちます。
建物の意匠を凝らした設計やデザインに見る、今に通ずるマテリアルどうしの異質な組み合わせや競合が、幾分そんなアートフルな様相に興味を持つ、我が目を惹きます。
そんな感覚の中でスナップした何枚かを載せておきます。
撮影ポイントがあれば、歩みが止まり、また歩き出しては、あちこちよく目が動くという繰返しをしていると、けっこうしんどくなって来て、それほどの距離ではないにもかかわらず、どこか腰を降ろしたいような気になって来ます。
わんこはツレに引かれながら、いや、わんこの方が常にぐいぐい引っ張っていたので、すっかり人間の方がくたびれてしまったようでもあり、おもむろに見つけた無料の足湯でひと休みすることに。(伊豆文邸の足湯)
これが相当に高温で、水道をめいっぱい出しながらでないと、とても足を入れられません。
湧き出す湯温は60℃以上あるようですから、かなり水で下げないと熱湯風呂になってしまいます。
なので、水道のホースを手放せません。(足は真っ赤)
わんこは入れませんが、足湯の傍らでなんだかうれしそう。
(笑っている顔のよう)
それにしても、あれだけずうっと力感的に随分と町中を歩いたのには驚きでした。
このわんこ、けっこうタフです。(人間よりは)
ふだん、お散歩はややショート気味なのに。
帰りは、仁科の大浜海岸で遅めのコーヒータイム(車中でコンビニ珈琲)。
秋の日は日暮れが早く、そこできれいな夕日が撮れました。