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伊豆の踊子 -1-(出会い)伊豆半島は大きく分けて3つのエリアにそれぞれのルートがあって、先端の南伊豆へと続いています。東伊豆・中伊豆・西伊豆。 鉄道は東伊豆を通って下田まで行く伊豆急と、三島から修善寺まで行く伊豆箱根鉄道の2本があるだけです。中伊豆は修善寺までの鉄路の先は、バスか車か徒歩しかありません。 大正7年(1918)秋、一高時代の19歳の川端康成ははじめて一人伊豆の旅に出ました。その時に出会った旅芸人一座とのかかわりを後年小説にしたものがかの有名な「伊豆の踊子」です。なので、この小編には、中伊豆から下田までの大正時代の伊豆が、その舞台として描かれています。しかも、すべて徒歩での峠越えをしての下田までの旅です。 伊豆に住んで伊豆をくまなく走りまわっている自分にとって、こんな伊豆を描いた代表作をご紹介せずにはいられません。過去に撮った写真と最近のこの為に取材した写真を織り交ぜながら、「伊豆の踊子」特集・Martin編をときどき気まぐれと都合で少しづつお送りしていこうと思います。 川端青年がはじめての伊豆の旅で、湯ヶ島の温泉宿で泊まったのは、この湯本館です。 小説にあるとおり、主人公の書生さんと同じように川端青年は、この湯本館の梯子段で玄関の板敷で踊る踊子を一心に見ているときに、恋心が俄かに湧き立って来たのでしょう。 このときの2泊から、昭和の初めまでの約10年間、この宿が川端さんの伊豆の定宿になります。川端さんがしばしば長逗留していた4畳半の部屋は「川端さん」いう部屋名になったそうです。 名作「伊豆の踊子」の前身になる随筆「湯ヶ島の思い出」は、この宿で書かれたものです。 「伊豆の踊子」は過去6本の映画が撮られていますが、1963年の吉永小百合主演と1974年の山口百恵主演の2本は、西河克己監督が共に撮っています。昭和38年と昭和49年は、我が世代の映画ですので、とりわけ何度も観てこの時代の違う2本を懐かしく偲んでいます。 1954年(昭和29年)の美空ひばり主演の野村芳太郎監督作は、DVDも出ており、中でも伊豆の最も古い風景が見られるので、川端さんの時代を遡るには格好の作だと思います。 ▲西平橋から狩野川上流を眺める(左の建物は白壁荘) ▲世古橋から世古峡を眺める(左奥の建物は木太刀荘) ▲白雲楼の赤い橋(猫越川) 湯ヶ島は、猫越川と本谷川が合流し、狩野川になって下ってゆく川を主体にして温泉宿が点在する山深い温泉郷です。渓流の瀬音が響く情緒漂う温泉宿に、古くから文人墨客が数多く訪れ、日本の近代文学のひとつのエポックに与えた場の意味は少なからずあるのではないかと思います。 川端さんの「伊豆の踊子」はこの地がなければ生まれはしなかったであろうし、梶井基次郎の「闇の絵巻」もしかりです。 湯ヶ島は文学が生まれる情趣を持ち、若き作家の才知を導き出す力のあった場だと思えます。かつてはそういう光があった地でした。 つづく by Martin
by martin310
| 2012-10-19 21:13
| 文学
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Comments(2)
Commented
by
furafurarere
at 2012-10-19 21:28
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伊豆の踊り子の、山口ももえさんは、拝見したことがありますが、今、見るとまた違った発見がありそうですね。。。
「湯本館」は、すばらしく景色も良い所にあるんですね。。 あまり、伊豆方面に行ったことは、無いのですが、こういう景色の中の宿はすばらしいですね。。。 川端康成さんが10年も、通ったのが、よくわかります^^。宿も、昔のままのようで、タイムスリップできそうです。。。。
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by
martin310 at 2012-10-19 21:52
furafura-rereさん、コメントありがとうございます。!(^^)!
そうですね古い映画はfurafura-rereさん最近ご覧になっているようですね。 「伊豆の踊子」も、地元ですからどこでロケしているかなんて 無性に気になって観ています。 今後、続編でもご紹介しますが、湯ケ野の福田屋はいつもロケで 使われますので、このあたりの部屋の中など撮って来ていますから またお楽しみに。 湯本館はすぐ裏が猫越川です。 古い昔からの建物を長くもたせて今も営業を続けていますね。 機会がありましたら是非伊豆にもどうぞ。 って、別に観光協会でもないんですけど。(^^♪ Martin
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