第5作目の動画作品制作の為、下田のペリーロードを再び訪れました。
冷たい強風の吹くこの日は、観光客もごくわずかで、通りは閑散としていました。お蔭で撮影には好都合でしたが、さすがにちょっとさびしい気がしました。
でも、大正か昭和初期の時代にタイムスリップしたようなこの場所は、やはり静けさと黄昏るブルーの光がよく似合うと思いました。
そして、古い建物の概観はそのままに、内部は新しいモダンな店にマイナーチェンジし、またうまくそれがマッチするのが不思議です。伊豆のなまこ壁と洋風ファッションの組み合わせは、妙に合うものです。
それが下田港の異国情緒の特異な感覚なのかもしれません。
昭和30年代までこのペリーロード界隈は、漁師や旅人が遊ぶ遊郭街だったようです。当時の花街は、一稼ぎしようと地方から集まってくる女たちと荒くれの船乗りたちの刹那の場だったのでしょう。そこにはきっと数々の悲哀の物語があったに違いありません。
暮れかかる川沿いの軒の並びには、そんな切なく寂しい名残が漂っているようでした。
by Martin