デヴィッド・シルビアンが911事件の後につくった「World citizen」という曲だ。
訳詞を読んでいて、「“そしてビルが崩れる、もうもうたる粉塵に包まれて”」あたりで、んんっ、これは「911」のことだとわかるはずだ。
それにしても実に率直なメッセージで、鋭敏な感覚の詞の内容だ。
なるほど、坂本教授とのコラボ・プロジェクトから生まれた曲だというので納得した。
これは現在の現実にも通用するメッセージだなと思える。
「David sylvian "World citizen"」
"World citizen"(歌詞邦訳)
一人の赤ん坊が死んでゆく
取るに足らない出来事
彼女はアメリカ人じゃないから数に入らないのさ
六千人の子供達が薬もなく、ただ見殺しにされた
たった一ヶ月のうちに
ニューヨーク港では、
現地に送る事を見合わせたままの薬の在庫が眠っている
それが世界をもっと安全にするつもりで 僕等の支払った代償さ
世界は苦しんでいる
世界市民
インド中部のマディヤ・プラデーシュ州では
ダムの建設のために
先住民を家や土地から追い出している
自分達にも人間の尊厳があると信じて
でも、建設推進側にとっては、
一つの命の重みなんて取るに足らない小さなこと
発展と民主主義の名において?
そんなのは言葉だけさ
彼の世界が苦しんでいる
彼女の世界が苦しんでいる
彼等の世界が苦しんでいる
世界市民
そしてビルが崩れる、もうもうたる粉塵に包まれて
僕等は自問する
なんで憎まれなければならないんだ?と
それは僕らが無知と贅沢にひたって暮らす間に
私達自身に起因する様々な巨大な力によって、
まさに彼等を蹂躙して、
操り人形劇を繰り広げているからさ
僕等が選んだファシスト国家の指導者に
武器を売りつけ、
彼等の権力維持を確保させる
奴等の行為には知らんぷり
人権侵害、銃の横流しにも
彼等の世界は苦しんでいる
私達の世界は苦しんでいる
世界市民
だれか、国旗なんてやめさせてくれ
だれか、本当の誇りを思い出させてくれ
奴等のポケットから金を取り上げ、
反対を大声で叫んでくれよ
神が僕等についているなんてありえない
だから思惑どおりにいくものか
彼等は戦争に勝ったと思っているけれど
それで何もかも解決したわけじゃないんだ
権利を剥奪された人々
彼等の声こそ聞かなくては
もし誰も立ち止まって耳を傾けようとしないならば
言葉への信頼は無くなってしまうよ
そして暴力が横行し、
全ての希望が消え去るとき
一体、誰が人間の魂を抱きしめて、
その損失を引き受けるんだ
一つの命も奪わせない
僕の名において
僕の名において
彼の世界が苦しんでいる
彼女の世界が苦しんでいる
彼等の世界が苦しんでいる
世界市民