12月19日の吉奈温泉「東府や」の記事のつづきとして、もう少し残っている写真画像があったので、せっかくなので載せておこう。
「東府や」の公式サイトの
“東府やヒストリー”にあるように、吉名温泉は奈良時代の末頃から子宝の霊湯として親しまれてきた伊豆最古の温泉なのだそうだ。
「阿万の方」や
「唐人お吉」にもゆかりがあり、「東府や」は江戸時代より創業400年の老舗旅館だということだが、伊豆に居て、吉名温泉自体が眼中から抜けていたところ、開湯以来のその古さにも驚いた。
もっとも温泉宿はこの「東府や」と吉名川の対岸の「御宿さか屋」の2軒だけのようなので、知る人ぞ知る秘湯なのかもしれない。
「御宿さか屋」の公式サイトを見ると、画家の
岡本太郎の定宿でもあったようで、ここでも作品制作をしていたようだ。映画監督
黒澤明は、ここで
「影武者」の執筆をしたようだ。知らないことが多く、伊豆を巡っていると意外なことに気づかされるものだ。
これは「御宿さか屋」の玄関棟から川を隔てた本館への渡り廊下の橋で、アーチ型の橋桁が不思議と懐古的な旅情をかき立てる。温泉場に川が流れ込んでいるというのは、否が応でも旅の空の情感を旅人に涌かせるものだ。それにアーチの橋と紅葉とくれば、名勝となってくる。このアングルは、そういう旅心に愉悦を与えるにふさわしい場のようだ。
「東府や」の“み登里の橋”からの“大正館芳泉”の佇まい。欄干に立つ瓦斯燈風の灯りが印象的だ。(位置は「東府や」散策マップ参照→
http://www.tfyjapan.com/resort/)
同じ“み登里の橋”から上流を見たところ。左手の白い蔵は新館のヴィラスイート“蔵”だ。離れの客室。右側の岸は「東府やガーデン」で広々している。
これはベーカリー&カフェの前の足湯テラス。最初、このブルーのプール全体が足湯なのかと思ったが、左にある研磨された石のテーブルの下に足湯があることがわかった。焼きたてパンを食べながら足湯を愉しむという施設のようで・・・。では、このプールはいったい?そう、景観デザインの為だけのようだ。HPには“水盤”と書いてある。
かなり大胆な設計プランのようだが、実に借景の日本の風景とマッチしている。どうもこの発想には、
デヴィッド・ホックニーの「Pool」があるように思うのだが、自分だけの思い過ごしだろうか?もしかして、ホックニーと“大正館芳泉”とは、絶妙なマッチングではないか。
「東府やBakery & Cafe」がこれだ。広大な藤棚がパーゴラのようになっている。藤の満開時の藤色と水盤のブルー、それにまわりの山のグリーンのコントラストはきっと見事なのだろう。是非、そんな5月のテラスを見てみたいものだ。
ベーカリーの自家製パンやスイーツの品数の多さに目移りする。なかなか決めかねるほど、どれも実に手の込んだつくりで美味しそうだ。実際、食して圧巻だった。最初に目に着いたものが直感的に美味いものに当たる、そう実感した。
この「Bakery & Cafe」と足湯のコンビネーションは、かなり雑誌などで広く紹介されているよう。こんな伊豆の山の中に、どうしてこんなに都会の若い人たちが・・・、というほどこの日も人が訪れていた。