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伊豆に住み、八ヶ岳を巡り「空と森と水」の美しい風景を求めて・・・。 自然に包まれて暮らそう!---Martinのフォトエッセイ
by martin310
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高島野十郎という生き方 ~そして、風景の奥に見ていたもの~


高島野十郎という生き方 ~そして、風景の奥に見ていたもの~_a0282620_20194615.jpg高島野十郎は、“kaze no ko”さんのHP「甘口辛口」の記事ではじめて知った。
「孤高の画家」というタイトルがまず目を惹いた。最近、この「孤高」なる言葉に弱い。一種の天の上の憧憬のようなものを感じているからかもしれない。そうありたいと敬いながら、生き方に学びたいという思いがあるのは確かだ。
野十郎氏の詳細は、“kaze no ko”さんの以下の記事をはじめに、Wikipediaや、その他、ネット上で調べて知った。さらに詳しく生涯を知りたいと、川崎浹著『過激な隠遁 高島野十郎評伝』も取り寄せて読んだ。

●“kaze no ko”さんの論考集「甘口辛口」
 http://tao.matrix.jp/kaze/

・孤高の画家(その1) http://tao.matrix.jp/kaze/b/314.html
・孤高の画家(その2) http://tao.matrix.jp/kaze/b/315.html
・孤高の画家(その3) http://tao.matrix.jp/kaze/b/316.html
・孤高の画家(その4) http://tao.matrix.jp/kaze/b/317.html
・高島野十郎の「蝋燭」 http://tao.matrix.jp/kaze/b/496.html
・高島野十郎の「月」  http://tao.matrix.jp/kaze/b/497.html


野十郎氏の回顧展の案内文に、簡潔に氏を紹介した文があったので転載させてもらった。

◆高島野十郎
高島野十郎という生き方 ~そして、風景の奥に見ていたもの~_a0282620_2020074.jpg明治23(1890)年、福岡県久留米市の酒造家に生まれた髙島野十郎(たかしまやじゅうろう)は、東京帝国大学農科大学水産学科に学び、首席で卒業しました。しかし周囲の期待と嘱望された学究生活を投げ捨て、念願であった画家への道を選びます。以来、約4年間の滞欧生活をはさんで東京、久留米に居を構えながら主に個展を作品発表の場として画業を続けました。70歳を超えた1961年(昭和36年)からは都内・青山を離れ、千葉県柏市の田園のなかに質素なアトリエを建て、晴耕雨描とも言える生活を貫きました。世俗的な成功や名誉とはほど遠い位置で制作を続け1975年(昭和50年)、千葉県野田市の老人ホームで85歳の人生を閉じます。
髙島野十郎は果実や花を題材にした卓上静物をはじめ、信州や武蔵野、そして故郷の筑後地方や房総の風景を、いずれも写実的に、しかもきわめて微細かつ克明に描き出しました。特筆すべきは、彼の絵の写実性は対象の単なる再現性を超え、ときには対象の生命や息吹にまで至って、独自な輝きを発露させていることです。
髙島野十郎が静物画や風景画とともに描き続けてきたのが、火のともった蝋燭や月だけを描いた作品群です。これらの不思議な作品には、見る人の眼をそらさない強い求心力を感じさせるとともに、どこか宗教的感情を呼び起こしさえします。そこには、彼が若い頃から関心を寄せていた仏教への深い含蓄が含まれていると言われています。
「世の画壇と全く無縁になる事が小生の研究と精進です」と、彼はある手紙に書いています。この真摯さは、なによりも「描くこと」への彼自身の執着のかたちであり、それはまた「描くこと」のひとつの根源のかたちを、いまもわたしたちに教えてくれています。
彼の遺した作品は没後、ようやく広く知られるようになり、その透明感をたたえた深い精神性と卓越した技量で、今日多くの人々を魅了し続けています。


まあ、実感として、このような「過激な隠遁」を生涯を通じ実践し、そのなかから深い精神性を湛えた珠玉の作品を残した氏の生き様を知り、先んじて道を歩んだ傑人がいたことで、どこか安堵の気持ちが湧いたのも確かなことだ。まったく及ばずながらも、どこか似たような性向を感じ、精神傾向の同族性をどこかにまとわりつけている者の自覚として、この野十郎氏の存在は大きい。

氏の作品と生涯についての論説は、既に数多く書かれているのでそちらに譲り、ここでは氏の見ていた世界、見えている以上の見えない世界について、以下の作品をモデルに記しておきたい。

高島野十郎の作品といえば、大抵がその代表作、「蝋燭」「満月」「からすうり」「雨 法隆寺塔」、そして衝撃的な「自画像」などが挙がる訳だが、かえって画題的にもそれほど特徴的でない、氏のなんともない風景画の方にこそ、案外、氏の見ているその先の世界があらわれているものだ。


高島野十郎という生き方 ~そして、風景の奥に見ていたもの~_a0282620_20183336.jpg
          高島野十郎「林経秋色」(1961)
          油彩 キャンバス 45.5x37.7cm


高島野十郎という生き方 ~そして、風景の奥に見ていたもの~_a0282620_20184849.jpg
          高島野十郎「萌え出づる森」


高島野十郎という生き方 ~そして、風景の奥に見ていたもの~_a0282620_20191097.jpg
高島野十郎「すいれんの池」(1948)
油彩・キャンバス 89.0×129.9cm


これは絵であって写真ではない。氏の作品は写生をもとにした細密描写がその真骨頂だから、このような小さな画像で見ると写真との差がわからないほどになる。現物はもちろんキャンバス地の上に油彩で描かれた、おそらく味わい深いマチエールで描かれているに違いない。技法的な研究を常に怠らない、画術を究めた人でもある。

野十郎氏のプロフィール写真を見てもわかるように、この世の先の異界を見る目を持っていることは明らかだ。現実の風景を前に、相当な実物凝視の研究を限りなく続け、それをもってあばら屋の画室で長大な時間をかけて絵を仕上げてゆく。氏は絵を描くとは言わず、研究すると言っているように、描いたものもまた長い時間をかけて見つめ、その世界を深めてゆく。
氏の描きだした風景は、そこにある風景をとっくに超えて、まだ見ぬ、次元を異にする世界を、その絵の中に降ろしているようだ。おそらく、氏にとって、作品はそのまだ見ぬ世界の間口に過ぎず、異界への窓であったのだろうと思える。

そのことは同族の端くれとしてよくわかるのだ。同じような対象を、同じようなアングルで撮っている。(以下に3点の写真あり)見ているもの以降の世界を脳裡に感じているのだ。
このことはまた、先回の記事にした、風景の対象物にまとう「時間の奥行」というものとの関連も考えられる。
野十郎氏の時代は、もちろん現在の時空ではない、地球の過去の世界だった。そのなかでまだ見ぬ世界を描き出す手法の探求によってこれらの作品が成立した訳だ。
で、あるなら、この変化した時空で獲得した新知覚をもってして氏の作品のを見るなら、氏の画室での孤独な苦闘ぶりが別の意味でわかるのではないだろうか。

氏は見ていたのだ。既に光を・・・。


高島野十郎という生き方 ~そして、風景の奥に見ていたもの~_a0282620_20202172.jpg
          高島野十郎の住んだアトリエ兼住居。(右に見えるのが本人)


以下に氏の作品にたまたま近似した拙作写真を並べておこう。(同様の並び順から比較するとわかる)絵画と写真の色彩の違いは致し方ないが、画面構成はほぼ同じ図式を採用している。だからどうという意味は何もないが、氏の作品を見ながら、同じような風景を撮った記憶があるなと思った次第だ。

高島野十郎という生き方 ~そして、風景の奥に見ていたもの~_a0282620_20204263.jpg
※「林経秋色」と対


高島野十郎という生き方 ~そして、風景の奥に見ていたもの~_a0282620_20205764.jpg
※「萌え出づる森」と対


高島野十郎という生き方 ~そして、風景の奥に見ていたもの~_a0282620_2021657.jpg
※「すいれんの池」と対
by martin310 | 2014-01-21 20:38 | アート
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