ベニシア エッセイ 北の自然に遊ぶ -後篇-
https://www.youtube.com/watch?v=d9KV4ILHgUo
※ベニシア・スタンリー・スミス(Venetia Stanley-Smith)
Eテレで放映された「京都 大原 ベネシアの手づくり暮らし」 の動画がYouTubeにあったので、いくつか楽しみながら観た。その中で、ベネシアさんが北海道を旅する企画で、なんとあの北海道ガーデンの象徴的存在の「
上野ファーム」を訪れたくだりがある。
上野砂由紀さんとベネシアさんとの取り合わせは、何だか不思議な感じがした。なぜかガーデン分野では、「北」と「西」で独立したものとして思えてしまっていて、京都・大原の里の古民家でハーブを中心に、イギリス風のセンスをもとに日本の古きよきものを暮らしに生かしているイメージのベネシアさんと、北の大地の元農場だった土地に広大なイングリッシュガーデンをつくった砂由紀さんの組み合わせは意外に思えてしまい、考えてみればイングリッシュガーデンでは元を同じにする二人であることにあらためて気がつくのだ。
上野砂由紀さんといえば、あの倉本ドラマ『
風のガーデン』の、まさにその
風のガーデンを設計・制作したガーデナーだ。ドラマの撮影が開始される2年前から、倉本さんの要請でゴルフ場跡地を改造して、あの美しい広大なガーデンをつくりあげ、その庭は今でも新富良野プリンスの一角で一般開放されている。
ドラマはDVD化されて大分経ってから観て、その世界に断然魅入りられて
写真集なども手にし、今の我が家の庭のイメージの大きな模範にすべきモチーフになったことでも、この砂由紀さんの生み出した世界の影響は大きい。
とはいえ、小さな我が庭では、風のガーデンに咲いていた代表的花の品種を出来る範囲で集めて植えて喜んでいるに過ぎず、到底ガーデンなどと呼ぶにもはばかれるほどのものであるのは言うまでもない。
ただ、少しでも風のガーデンの持つ、天上的な風景の残像を身近な庭に留まらせたい希望で、せっせと苗を探しては注文して集めたという訳だ。
ベネシアさんはこの上野ファームのガーデンを見て、すぐさま故国イギリスで見ていた世界を思い出し、とても懐かしい気持ちに感動していた。
気候や土地、土壌や肥料や気温や日照や様々な条件を見て、またそれに合った植物の特性を生かして、適材適所にデザインしてガーデンをトータルなバランスでつくりあげていく。しかも日々刻々、その様相は変化し、完成というものはない、持続的で成長を続ける生き物としての自然との美の形成が、なによりの生甲斐を生んでいくのがよくわかる映像だった。
そして、ベネシアさんのエッセイとしてのこの言葉。
この美しい地球に住む人間として、自然と共に暮らす人として、これらのメッセージに込められた思いを忘れることなく、人は生きていくべきだとつくづく思う素晴らしいものに思えた。