主がキャンプ如きに熱を上げているあいだに、巡る季節は待つこともなく、我が庭の植物たちにいっせいに勢いを与え、みるみる初夏の庭を鬱蒼とした様相に変えて来たようだ。
緑の柔らかな塊は膨れるように地を覆い、そこに今までなかった鮮やかな花の色の点景があちこちに現れ出した。
バラや宿根草やハーブ類の花々が、それぞれ個性豊かな色と形の競演を見せている。
この季節、毎年まるでミニ桃源郷のように感ずる豊かな気持ちを味わっているが、今年の花や実の茂りの様子は、今まで以上に豊穣な感をいっそう強くする。
何か、植物の生命エネルギーが倍増するような天からのプラーナが大量に降った結果なのだろうか?それとも、単に今年の気候が植物に旨い具合に合っているというだけなのであろうか。
片手間な世話しかしない俄か庭師の成果としては、見違えるほどの生育を見せている植物たちの真摯に旺盛な生育力は、遙かに不釣り合いな感じに見えてしまう。
中でも、以前、2、3株の苗を試しに植えた“ワイルドストロベリー”が、まったく思いもかけぬほど豊作で、毎日欠かさず収穫しないと間に合わないほど、多くの実を次から次とつけている。
去年は実こそつけども、これほどの粒揃いと数をつけることはなかった。
食べてもそれほど美味しいというのでもなく、酸味が強く、まあ食べられないほどでもない程度のものだったが、今年はまったくもって、温室イチゴが既に終わりを告げた時期をカバーするように、そこそこのくだものの味を呈している。
“ワイルドストロベリー”の繁殖力は旺盛を通り越して激しいくらいだ。このまま勢いに乗せれば、今に庭全体を席捲されそうだ。
せいぜい現在の広がりをキープするほどに、拡張勢力は間引きしていかなければ追いつかない。
葉の繁った上から見ているとあまりわからないが、地面近くを覗いてみると、赤い実がたくさん成っている。
虫に喰われる前に摘み取っていくと、みるみるこんな風にザルがいっぱいになる。
毎日、夕飯後のデザートに茶碗一杯分の割り当てで食しているのだが、遂にそれも食べきれなくなり、近所に応援を頼むようにおすそ分けしたりするほどだ。
ありがたい天の恵みには違いないが、毎日それだけの量食べていると、ちょっと勘弁な気持にもなってくる。
庭に植えたほんの少しの苗から、こんなになるほど新鮮な無農薬、ほったらかし栽培の新鮮なイチゴを供給してくれることに感謝しつつも、もっと違った食べ方でおいしくいただきたいと、あれこれ考える昨今である。