我が家の庭のバラの蕾が大きくなる頃、いつものようにそれを目掛けてどこからともなくやって来る、招かざるお客さんがいます。
ほとんど歓迎出来ない客で、なにせ新芽の茎に長い棘の鼻を突っ込み、エキスを吸ったり、卵を産み付けててまわり、そのために蕾をつけた茎はうなだれ、やがてだらりと壊死したようになります。
このゾウムシ君のお蔭で、今年も何本もの花の元を失いました。
バラゾウムシという名だけあって、2~3ミリという本当に小さな虫であるのに、鼻の長く太っちょの胴体はまさに象そのものです。
このマイクロ象さんが羽をつけて飛んで来るのですから致し方ありません。
それでも健全な花芽は残り、見事に大輪を開き始めました。
なかでもキッチンガーデンの中央のテトリスに絡む、このバタースコッチの大輪はまさに両手で包むほどの大きさ。
雨に濡れた庭に、シックな色合いのゴージャスな花姿が、その存在感を厳然とあらわしています。
バラというのはなぜか不思議に、そこに西欧の宮廷世界のような雰囲気を醸し出すもので、眺めていると、ある種その世界へいつのまにか誘われて、時間を忘れている瞬間があります。
緑の豊かな庭世界で、点景する色彩の豊穣さをこれからさらに愉しめる季節になります。
次なる品種の蕾も膨れて来ているので、あと少しで絢爛豪華なバラの楽園が現出して来ます。
(とは言え、バラの種類にそう目を張るようなものはなく、色数的にもシンプルなものですが…)