
不思議なものだ、次に記事にしようとするものをふと考えていると、なぜか以前(5年前)に撮った写真の一コマが浮かんで来た。
それがトップ画像の「
1412」だ。
そう、今やDIY畑ではふつうに人気のあるアンティークアイアン文字。
その番号版を打ちつけた4ケタの番号の絵像が思い出されたのだ。
もちろん、それが軽井沢の
堀辰雄別荘の別荘番号のプレートだというのは同時に判っていたものの、なんでこの番号だけ拡大した像が脳裏に浮かんで来たのかはよくわからない。
それにしても、昭和16年頃の別荘に、こんなモダンなアイアン文字が使われていたなんて…。
いや、逆に今流行りのアンティーク風というのが、こんな古い時代のものを模して作られているからといった方が的を得ているかもしれない。
しかしこの数字デザイン、なかなかユニークな書体だ。
「2」なんて2分割されているほどかわった形だもの。
当時の軽井沢では、郵便配達の利便性からこういう番地とは別の別荘番号というのが各別荘家屋に付けられていたそうだ。
我が家の門柱や玄関横の外壁に打ちつけた、かっこつけのアイアン文字ではないようなのだけれど、やはり今見てもこういうの当時だってかっこよかったはず。
ところで、この瀟洒な平屋の木造の別荘は、旧軽井沢の万平ホテルの南の方に建っていたよう。(現在の堀辰雄の道・フーガの径)
当時、川端康成の奨めで堀さんが出版社へ借金してまで手に入れたもののようだ。
その建物が今でも現存し、塩沢湖畔にある「
高原文庫」の敷地内に移築保存されている。
そこを5年前に訪れ、そのときに撮っておいた写真画像がこれなのだ。


この建物、かなり古くなってはいるものの、けっこう魅力的な家屋で、中でも当時こんなウッドデッキを備えた家なんてほとんどなかったろうから、軽井沢ならではの洋風建築のひとつだったのかも。床だって畳の間なんてなく、すべてフローリングだし、硝子窓が広くオープンで、暖炉を装備していて、その煙突がなんと土管を使っているという。
けれど基本、夏の避暑仕様で暖炉はきっとおまけか、秋口の冷え用かもしれなし。
なにせ断熱材などない時代の建物で、内張りの外は板張りの外壁で、屋根なんか垂木が剥き出しの屋根裏さえない構造。
とても冬の寒さに耐え得るものではないのは一目瞭然だ。
もっとも冬には軽井沢にはいないのがふつうだし。
でも、堀さんの作品には雪の軽井沢を歩く作品なんてのもあるから、冬にも滞在していたのかも。


こんな緑の木々に囲まれた森の別荘で、デッキで涼しい高原の風に吹かれれば、きっと物語の構想だって湧き出て来るに違いない。まあ、創作はそう単純なものではないにしろ、作家というのはやはり人に出来ないライフスタイルが可能なだけに特異な物語も編めるのかと、そんな風にも羨んでしまう素敵な別荘だった。
「1412」のアイアン文字の浮き上がった物質感が、何かクリエイティブな感性の共鳴のような感覚を送ってくれているような気がする。
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