九州へ4000kmの車中泊旅 （その1）

▲画像は萩城跡にて

毎年恒例のＧＷ開けの春の長期旅。今年は北ではなく西の九州へ行くことにしました。
例に寄って、いつもどおりの下道旅、高速を使うのは最小限にして、もっぱら日本の農村を旅する田舎道がメインルートの車旅です。
なので、一日あるていど距離は稼いでいるのに、意外に思ったより日本列島を先に進んでいないという、なんとも時代に逆行したのんびり旅です。



出掛ける頃は５月といえども、まだ肌寒い日が続き、着るものも、寝具だって、寒さを気にした装備で、自然、容量が多くなったのでした。でも、西に行けば暑い日が続き、まったく余計な荷物を積んでいったという具合。
新緑が目にも鮮やかで、ウインドから見える山の風景に見惚れるルートが続きます。



３人乗りの中央は、クッチャン専用席です。常に前を見ながら隊長は指示を出します。でも、ときにクークー寝てますが…。
このボックス席の下には、今回、合板を敷いて、それに傾斜しないように土台を付け、滑り止めシートでズレを止め、さらにバンド固定でしっかりさせているので、けっこう安定していてお気に入りのようです。




初日は、伊豆の我が家を出発し、けっこう効率よく距離を進め、岐阜県関市の「道の駅 平成」まで歩を進めました。
高速に乗らずに名古屋近郊、岐阜の市街地をやり過ごすには、このように中山道から美濃の北側を通り、伊吹山の向こうを琵琶湖に出るルートが最良なのです。
「平成」という名称、この由来は、この地域に平成（へなり）村があったことから元号と同じに付けたようです。



この日の夕飯は、到着が7時頃になってしまったため、ご飯を炊く間もなく、家からのおかずとカップラーメンで凌ぎました。まあ、初日、頑張って366kmも走ったのですから致し方ありません。質素倹約の我が家の長旅向きの初夕食となりました。



二日目は、揖斐川を遡って行く山路、国道303号線で琵琶湖の北岸に出て、敦賀で日本海に、小浜、舞鶴を通って福知山、朝来（あさご）、養父（やぶ）と来て、「道の駅 ようか但馬蔵」で宿営。この辺り、道の駅が割りと近くに林立していて、最適な場所をと探し回り、夕暮れ時に難民状態となりました。ちなみにその道の駅は、「やぶ」「農匠の郷やくの」「但馬のまほろば」「但馬楽座」そして「ようか但馬蔵」とこんなにあるのです。しかも、「但馬（たじま）」がつくものが３つもあり、初めての者には訳がわからなくなります。また「但馬」が読めなくて、つい「たんば」なんて言ってしまい、ますます混乱…。



「道の駅 ようか但馬蔵」での夕飯は、まあ自家製カツ定食というようなものになりました。イカ大根が美味でした。
そしてこの夜、事件は勃発したのでした――。
夜の歯磨き時にシンクのポンプを、ちょっと圧を加えて使ったときです。なぜかポンプの音が変わって、どうも水を上げていないような感じになり、それを何度もフットスイッチでONにして動かしてテストしたところ、その後、じわじわとキッチンの下から水が漏れ出したのでした。
んんん、嫌な予感…。
以前にも、一度、ホースと蛇口のあいだがはずれたことがあったのが頭をよぎりました。その後、問題ないので最チャックはしていなかったのです。ああ、あそこだ！ホースとのジョイント部分の締め付け金具では？



寝る前に、場所を移動し、駐車場の端に行って修理をすることに。
何と言っても、外に出ると、車の後部から水が出て、路面がびしゃびしゃになっているではないですか。
バックドアを開放し、シンクの側面の羽目板を１枚ずつ外し、中が見えるようにしました。やはり思ったとおり、ホースが外れていました。
これではスイッチを踏む度に水が床にこぼれる。なんてこった。
金属ベルトをきつく締め直し、これで板を戻し完了。ああ、くわばら、くわばら…。



翌朝は、修理の甲斐あり、一応、問題なく水は出るよう。こういう時のために、工具はいろいろ積んで来ているので安心でした。



旅も３日目になり、生活用水も１本目の20Lがなくなり、そろそろ補給しようと湧水地をGoogleMapで検索し、行く道の途上にあるのを知りました。揖保川河畔から穴栗市一宮の山にけっこう入った辺りにあるようです。こうやって湧水地を探しに行く過程も、意外に面白く、まず普通の旅では絶対に行かないエリアに入るので、里村の内部に組み入る感覚で楽しめます。



千年水は、この地域に鉄を産するタタラ場があり、その他山の産物で賑わった場であるそうで、千年も前から湧水として使われていた場所のようです。



櫓も組まれて、よく整備された水場です。ありがたく自然の恵みをいただきました。やわらかく、甘みのあるおいしい水です。我が家の車中泊旅では、欠かせない生活の水です。

公文川という清流がすぐ横に流れていて、とても気持ちのいい場所でした。湧水を汲みに来なければ、まず、ここまでは入り込むことはない場所ですね。



「道の駅 みなみ波賀」兵庫県宍粟市波賀町で休憩＆ランチ。
中国地方は、前回、鳥取や島根の日本海側を行ったので、今回は敢えてど真ん中辺りを行こうと中国道に沿ったルートを行こうとしていますが、なかなか効率のいい道はなく、上に行ったり下に下りたりとくねくねして、いったい今どのあたりなのかがよくわかりません。地図上で調べると、なんと位置的には姫路辺りと同じ経度で、まだそんなところかと溜息が…。



運動不足気味のクッチャンのお散歩も、出来るだけ停まった際に外を歩かせちょっと解消に。



「道の駅 にちなん日野川の郷」（鳥取県日野郡日南町）に到着。ここには前回、山陽から四国へ向かった際に宿営したことがあり、勝手知ったる場です。トイレが最新設備で、入るとキラランと魔法の音が鳴ります。なので、我が家では「キララン」トイレと呼んでいます。

夕飯は、ご飯を炊いてレトルトのビーフカレー。外はしとしとと雨が降っていました。この夜の車中泊組は我が家だけで、完全貸切の道の駅でした。



他に車中泊の車が居なかったので、なんと、ドアを開けて一歩でアーケードに入れる場に駐車していました。お蔭でトイレに行くのにもまったく濡れずにすんでGood。



国道186号線脇のこんなところで車中ランチタイムです。住所を調べると、広島県山県郡安芸太田町上筒賀。この横の川は筒賀川です。すぐ上を中国道が走ってます。緑が輝いて、とてもきれいな場所でした。



で、メニューは即席お好み焼きです。なんと、卵を入れて焼くだけでお好み焼きが出来るというもの。ドアを全開にして、風を通しながらいただきます。



へー、ほんとにお好み焼きっぽいではありませんか。豆腐のまぜ丼もあります。なかなかおいしかったです。広島に居ながら、なんちゃってお好み焼きとはこれ如何に…。



なんたって、こんな景色を見ながらのランチですからね。川の瀬の音もいいし、風が気持ちいい。
だいぶ来ましたな。もう、広島県の岩国の近く。すぐそこに山口県が…。



「道の駅 仁保の郷」（山口県山口市）で宿営。道の駅施設は改装中でしたが、離れたトイレがあり、その近くに停めました。土曜日なので、車の出入りが多くやや賑やかでした。



夕飯は、ご当地スーパーの弁当とおつゆがわりのうどんでした。



車中泊組はふつうの乗用車の人が多く、朝は早めに旅立って行きました。天気はときどき小雨で、気温は15℃とちょっと肌寒かったです。

５日目の朝です。けっこうかかりましたが、遂に本州の端っこまで到達とは…。

さて今日はいよいよ九州入りです。山口市から美祢市を通り、秋吉台を掠めて下関へ。行きは関門トンネルを通りたいので、敢えて一般道を行きます。そうか、関門トンネルって有料なんですね。どうも渋滞していたと思った。料金所での支払いでやや詰まる。だけど￥160でした。
さあ、有名なフグトンネルだー。料金所からすぐトンネル？かろうじてこの一枚が撮れました。カメラ構える暇がない。


―つづく―