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伊豆に住み、八ヶ岳を巡り「空と森と水」の美しい風景を求めて・・・。 自然に包まれて暮らそう!---Martinのフォトエッセイ
by martin310
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2013年 12月 27日 ( 1 )

いずめぐり[IZUmeguri]:奥伊豆「大沢温泉山の家」―つげ義春的世界 ―

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a0282620_1744034.jpgもともと若年の頃から、どこか厭世的な感情を抱いていたことから、ことさら世捨て人的な山籠りに羨望を持ち、良くも悪くも流れに任せて行き着いたところ、山籠りまでいかずとも、山上の森に蟄居することに帰結したのは、この元来の世に染まることが苦痛の性癖から来るものだろうと自覚している。それだけに自発的に疎外感を愉しくし、世を眺めながらもどこか逃避可能な場所を確保しようとしているような精神性が、今の生活のもとになっているような気がする。
だからそういう点で、世にありながら勇気なくややはみ出すような位置にいるしかないのだろう。厄介なものである。中に居ても中に居ず、染まったふりをして共有しながらも、潔癖に内部では染まることを拒み、希少な同類は未だ見つからず、孤高ならいいが孤立の位置に甘んずる以外なく、というのが本質だ。
a0282620_22352819.jpgこういうのは来る星が違ったのか、来たる世が予定調和していないのか、どうも常に存在の違和感に苛まれるものだ。

こうなると、近しい世界を持ち合わせた創造者の作品世界に親近感を求めるものだ。現実には邂逅出来る機縁がないだけに、表現された世界観にこそ融合出来るうれしさを見るのだ。俳人の種田山頭火尾崎放哉は、世から外れた宿運故に行き着く先のない孤独を余儀なくされたが、率直な作品世界に開放された救いを感ずる。
a0282620_22362171.jpgだが、あまりにミニマムに構成された感性的な発露であるだけに、延長や拡大する世界性は持ち得ないので、そういう意味では読み切りなのだ。
そこへ来て、疎まれ忘れ去られたような人間生活の深みも拡がりをも感じさせるのが、いわゆる「つげワールド」である。
寡作で有名な「つげ義春」の漫画作品はもとより、氏の記した日常や旅の記録が実に興味深い。特に鄙びた湯地場での記録や、それら昭和40年代の温泉場風景を撮った写真など、失われたかつての日本の陰の実像を伝えているものにこそ、つげ氏の世界が濃厚に顕れている。

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a0282620_22385227.jpgつげ氏の作品で有名な「無能の人」の、この川原で石を売る光景はかなり衝撃的な図だった。人間が生きる糧を得なければならない世の宿命から隔たった、究極の姿がこの無能と呼ばれる商いの姿にはある。このシーンを発見し表現する氏の才覚に、もの凄い力を感ずるのだ。この一発で、この三次元に生きるしかない世の不条理を大砲のように打ちつけて来る感がある。
竹中直人が監督・主演した映画「無能の人」は、実に優れてこの世界を映像化した。
同様に、つげ作品を映画化した「リアリズムの宿」も貴重なつげワールド作品だ。
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つげ作品の、鄙びた温泉場の光景を細密に描写したカットは、まさにつげ氏の視線そのものの現実感を写し取っている。こういう「ゲンセンカン主人」のワンシーンのような光景は、もう今や映画のセットにしかないほど、時代の波にあおられ消滅しつつある。湯地の文化そのものが、日帰り温泉ブームや巨大温泉レジャー施設に取って変わりつつある現在では、寂れて潰れそうな温泉街はあっても、「鄙びた」に相応しい場はもはやあっても希少なものとなっている。


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ちくま文庫の『つげ義春の温泉』のあとがきに、つげ氏の古い湯地場を求めての旅の思いが記されているので、ここに引用しておこう。
a0282620_22493122.jpg 温泉好きというと、のん気で気楽な身分のように誤解されることがある。けれど私の場合は行楽としての温泉には関心がなく、昔ながらの地味で面白味のない湯地場に惹かれていた。
 そのような偏りは、青くさいことを言うと、なぜかこの現実から逃亡したい思いが無意識に巣喰っていたようで、その不安の癒しを求めて湯地場にこだわっていたのではないかと思える。
 古い湯地場はたいてい貧乏臭く老朽化している。ときには乞食小屋と見まごうボロ宿もある。浴客もみすぼらしく老朽化した老人ばかりで、見た目の印象では、“姥捨て”が想像され、その侘しい雰囲気が癒しになるのだった。
 姥捨ては、老いて社会的に機能しなくなった役立たずの捨て場である。社会との関係からはずれた境遇は、関係に規定されている「自己」から開放され、意味も根拠もなくなるのではないかと思える。意味も根拠もない存在とは「存在しながら存在しない」非存在といえる。
 すべての関係から切れて、誰にも承認されず束縛もされない開放されている例としては乞食を挙げることができるが、私にとっての逃亡の意味も、乞食のように「存在しない」ように生きることが願いであったらしく、姥捨てムードに浸ると、深い安らぎを覚えるのだった。
 といっても、そこに永住できるものではなく、宿泊中の一時的な慰めにすぎず、その満たされぬ思いから、しつこく湯地場めぐりをするようになったのではないかと思える。

                         『つげ義春の温泉』あとがきより -ちくま文庫-


a0282620_22465029.jpgつげ作品は、こういう湯地場への旅から生まれたものが多いようだ。旅行記を読んでいると、漫画のこのシーンはあの旅の文の中にあったというように、氏の写真も、漫画作品に描く場末の光景をストックしている意味もきっとあるのだろう。
写真家でない氏の写真のよさは、こういう誰も撮らなかった湯地場の世界を、ごく自然に写し取っていることにある。モノクロで作為なく切り取られた実在のかつての風景は、まるで貴重な民俗資料のように、ある日の日本を陰影に残している。

つげワールドに浸っていて、同様の温泉場風景は自分の写真画像のストックにもあったことを思い出し、以下に並べてみた。
伊豆の温泉場は、「鄙びた」というより、寂れて人の気が引いてしまったところが多い。その中でもつげ作品にまさに登場してきそうに思えるのは、東伊豆・松崎の奥の「大沢温泉山の家」かなと思う。
一見、山の妖怪が棲んでいそうな小屋なのだが、湯量は豊富でゴボゴボと湯が溢れる、完全掛け流しの温泉だ。野天で岩風呂の上には屋根がない。脱衣場は屋根があるが屋外だ。この怪しげな雰囲気に勝てるのなら挑戦してみるのもいい。但し、湯温が高いのでのぼせて危ういことにならぬよう要注意だが。
山の家の先には、湯治の宿泊施設も用意されているようだ。ただ、使われている気配はない。残念ながら今や、湯治で長期滞在するような場ではないようで、つげ氏が日本中を探索してまわった湯治の世界は、この伊豆には今やほとんんどないようだ。


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by martin310 | 2013-12-27 23:07 | アート